2011/07/25

合掌 Pandora's Beatbox -[Every Summer Night]





心よりご冥福をお祈り致します。
合掌。


野上郁哉。
東京外語大院生、ウルドゥー語科、
音楽雑誌:「Oar」編集長、
メタル系バンド:[Pandora's Beatbox]のヴォーカル、
そして
村山和之氏主催「聖者の宮廷講」において
sain gwarix、サラーム海上氏と共に
音楽/文化の研究・評論を
独特なパフォーマンスとして
発信し始めたばかりの男だ。

享年24歳。
2011年7月24日、午前未明
交通事故(ひき逃げ)で亡くなった。


私にとって彼は
どこの大学院生でも
なんの雑誌の編集長でも
楽士でもヴォーカリストでもなく、
ただ、シンプルに旅人だった。

野上郁哉は
若くしてストイックが時折過ぎるほどの
修行者のような旅人だった。
そんな彼が何を学び、
どんなパフォーマンスをしたいか、
それだけでワクワクさせられた。

研究・取材のために向かった
中国から帰国した際にはお土産を携えて
我が家に遊びに来てくれたこともあった。

現実的なもの一切合切、何もなく
ただただ、どんな時間を過ごし、
だからどんな時間を創って行きたいか、
そんなことを話しながら
楽しい時間を過ごした。

その前には
「その時期にパキスタンに行くなら
Pattokiのお祭りが凄いから行っとけ」
みたいな話をしていて、
私がShahbaz Qalandar Urs 後から始まる
Shah Nooraniまでの砂漠の巡礼を終え
デリーに戻った際、
贔屓にしているチャイ屋で
まるで偶然の様に再会して
インド人が驚くような叫び声を
互いにあげたこともあった(笑)。

予定通りその時期にパキスタン入りした彼は
Lahoreでの滞在を中心に
Pattokiのお祭りに参加したとのことだった。
その日の午後のフライトで
彼が帰国する寸前の再会だった。
「Pattokiではやられました」なんて言いながら
顔をくしゃくしゃにするもんだから、
私も同じ様に顔くしゃくしゃで
チャイをすすった。

彼と一番最後に会ったのは
5ヵ月前、
パキスタン映画
「Khuda Kay Liye」(邦題:神に誓って)の
日本語字幕放映があった渋谷だった。
映画後編前の休憩。
私は毎度おなじみの様に
飯食いに来い、なんて言ってたっけ。
彼は顔をくしゃくしゃにして
近々伺いますなんて言ってくれたっけ。


2003年から私と妻はDhol奏者の弟子となり、
またフォークシンガー・Sain Zahoorにも弟子入りした。
私がトゥンバ、妻がドゥルキー、
Lahore滞在時はDhol修行の他に
Sain Zahoorの自宅でレッスンを受けていて
課題曲は「Allah hoo」だった。

「Allah hoo」は後に
BBC Award を獲得し、さらに
「Khuda Kay Liye」(邦題:神に誓って)の
挿入歌となる。

野上郁哉が訳した「Allah hoo」の一節がある。


Allah Hoo / Khunda Kay Liye


ishq di hasti masti yar miTa deve
愛の陶酔が自分自身の存在を消し去ってしまうかもしれない

agg ishq di dil di thuni jaga deve
愛の炎が心の中の旋律を呼び覚ますだろう

auke paiNde lamiaN lahaN ishq diaN
愛へ辿り着く長い道のりは困難な旅である

sajanaN bajoN lakh sogataN ishq diaN
愛する者なしで 10万もの(神からの)愛の試練

wakhkhli kulli din te rataN ishq diaN
人里離れたあばら屋で 昼も夜も 神の愛を求めて

caudaN tabakaN andar thanwaN ishq diaN
心の内と外にある14の層に 愛の在り処がある



以前、在日パキスタン大使館の主催するバザールにて
野上郁哉訳の「Allah hoo」を更に意訳した日本語歌詞で
トゥンバの弾き語りをしたことがあったが、
今後も私はその日本語歌詞を加えて「Allah hoo」を
歌っていこうと想っている。


最後に彼がヴォーカルをしていた
メタル系バンド:[Pandora's Beatbox]の楽曲を紹介したい。
全4曲をMySpace.comで聴くことができる。

MySpace:[Pandora's Beatbox]

gramali's waveとしての配信は
Pandora's Beatbox -[Every Summer Night]



追記:7/26
Pandora's Beatboxは彼らのTwitter及びFacebookにおいて
今後もバンド活動を続けるとの宣言がありました。
彼の意思を継いで、頑固で万人受けをしない、
心を込めて作った音​楽を届け続けます、とのこと。

陰ながら応援しています。

Pandora's Beatbox:Facebook























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